自戦記第15回。
戦型は角換わり腰掛け銀△6四角型です。
角換わり腰掛け銀は定跡が複雑で指しこなすのが難しいですが、この△6四角型は決まった形に誘導しやすいのでアマチュア向きの戦法だと思います。
って、最近買った「最強アマの即戦力戦法~スズメ刺しから丸山ワクチンまで~」という本で紹介されていたから今回採用したんだけどね。
アマチュアにおすすめな△6四角型
対局場所は将棋倶楽部24。相手の方が先手で僕が後手です。
初手から、▲7六歩△8四歩▲7七角△6二銀▲7八金△3四歩▲6八銀△3二金▲2六歩△7七角成▲同銀△4二銀▲4八銀△8五歩で1図。
3手目▲7七角に意表をつかれましたが戦型はなんてこと無い普通の角換わりです。
△3二金では△4四歩として矢倉を目指す順もありますが、▲4八銀~▲4六歩から右四間飛車にされるのが気になるところです。
また、△8五歩では飛車先を保留して将来の△8五桂を残すほうが得かと思いますが、通常通り飛車先を伸ばしました。強い人は桂跳ねの余地を残すことを先に考えるんでしょうね。
1図以下、▲5八金△6四歩▲4六歩△6三銀▲4七銀△5二金▲6八玉△4一玉▲7九玉△5四銀▲1六歩△1四歩▲3六歩△3一玉▲5六銀△4四歩▲9六歩△9四歩▲8八玉△7四歩▲6八金右△6五歩▲3七桂△6四角で2図。
後手の僕が6筋の位をとって6四の地点に角を打った局面です。次に△4六角の歩取りがあるので先手はそれを受ける必要があります。
2図までの手順は先手が玉の囲いを優先させるという通常の角換わりとは少し違った流れですが、そんな細かいことは気にしない気にしない。とりあえず自分が指したい戦型に出来るかどうかがアマの将棋では大事だと思います。
先手動く
2図以下、▲4八飛△7三桂▲4九飛△6三金で3図。
先手は飛車で歩取りを受けました。受けだけでなく将来▲4五歩からの攻めもあるので自然な手だと思います。ただ今すぐは▲4五歩には△3七角成があるので出来ません。
で、△7三桂に▲4九飛。香に飛車の利きを足しました。隙のない布陣ですね。
ちなみに冒頭で紹介した本では似たような局面で先手が穴熊を目指し、後手がその隙を突いて攻めかかる順が解説されてます。しかし本譜はそうならず先手から動いてきました。
3図以下、▲6六歩△同歩▲同銀△6五歩▲7七銀で4図。
まぁ、角は頭が弱点なのでその弱点を狙う▲6六歩はやってみたいですよね。先手が穴熊を目指さないのであれば多分ここから仕掛けられると3図で予想してました。
歩を交換されて後手がしゃくなようですが、駒が入手できれば露骨に6六の地点に香や桂などを打ち込む筋が狙えるので別に問題ないです。むしろ攻めの拠点が出来たと前向きに考えたほうが良いですね。
4図以下、△7五歩▲同歩△同角▲7四歩△同金▲4五歩△6四角▲2五桂で5図。
解説が前後しますが、△6三金と玉の反対側に金を上がったのは△7五歩からの歩交換を果たすためです。金を上がってないと△7五角の瞬間に▲7四歩で桂損確定で後手悪いです。ここらへんの金上がりに関しては同型腰掛け銀にもありますね。
▲7四歩は金を上ずらせて守りから離れさせようという手だと思いますが、実はこの金で8筋方面を攻めようと考えていたので正直ありがたい手でした。歩を取りながら金を移動できるわけですからね。
5図では△3七角成や△2四歩で桂取りとして少しずつポイントを稼ぎにいく手もありますが、対局中はそんなこと全然頭に無く攻めることだけを考えてました。
そしてここから僕の指し手がおかしくなります。
ちょ、これピンチじゃね!?
5図以下、△7六歩▲同銀△6五歩▲7五歩で6図。
△7六歩~△6五歩として次に△7五歩の銀バサミを狙うもその前に▲7五歩と手裏剣をもらってしまいました。「相手の打ちたいところに打て」とはまさにこれですね。
△6五金とガツンとぶつけて総交換するか△8三金と逃げて大人しく指すか。このどちらかを指しておけば互角だったと思うのですが対局中って不思議ですね、そんなのは全く見えません。局後に初めて気付くっていうね。
というわけで悪くなるコース突入です(苦笑)
6図以下、△同金▲同銀△同角で7図。
この局面で僕は▲7四歩か▲7四金を予想していました。駒損確定で後手が不利ですが、△8六歩と△6七銀の攻めを狙えば駒損でも何とか食いつけると思います。まぁ、それでも先手がまだ有利だと思うけどね。
しかし実戦は先手がここで疑問手を指したので僕はピンチを回避することに!
△8六歩が早いんじゃァァ!
7図以下、▲4四歩△8六歩▲同歩△4八歩で8図。
▲4四歩と取り込む手は確かに大きいですが、ここでは△8六歩が早い攻めです。
先手はこの△8六歩が来る前に▲7四金や▲7四歩としていれば有利を拡大できていたと思いますがもう遅いですね。仮に△8六歩に▲7四金としても△8七歩成▲同金△8六歩で後手の攻めが続きます。
△4八歩は▲同飛なら△5九銀の割りうち、飛車が横に逃げれば先手の4筋からの攻めを止める狙いがあります。この△4八歩でこちらが指しやすいと感じました。
ピンチと思っていた局面からほんの数手で形勢が変わるなんて...将棋って難しいゲームですね本当。
8図以下、▲6九飛 △6五銀▲3七角 △7六銀で9図。
▲6九飛で先手の飛車が攻めに参加することは無くなったので、とりあえずこちらは安心して攻めに専念できます。
△6五銀は▲同銀なら△同桂を狙った手ですが、▲7四角という手が見えてなかったのでそうなっていたらかなり焦ったかと思います。
実戦は△6五銀に▲3七角。実はこれも見落としていた手で、指された瞬間かなり焦ったのを覚えています。というかさっきから見落とし多いですね(笑)
でもよくよく考えると桂馬を取られてもこちらの玉がすぐ危険になるわけではないですし、むしろ桂馬を取られる間に先手玉を寄せればOK。というわけで桂取りは無視して△7六銀と先手玉に圧力を掛けにいきいました。
9図以下、▲7三角成△8七歩▲9八玉△8六飛で10図
△8七歩に▲9七玉は△8六角、▲7九玉は△8八銀でそれぞれ詰みます。なので▲9八玉ですが、△8六飛が次に△8八歩成の詰めろです。
10図以下、▲7四馬△8八歩成▲同金△同飛成で先手投了。
先手は詰めろに気付かなかったのか、▲7四馬として角取りに当てましたが△8八歩成から即詰みです。▲7四馬では▲7九桂が詰めろを防ぐ手ですが、△7七歩でほぼ受けなしです。
投了図以下、▲同玉△8七銀打▲7九玉△8八金まで詰みとなります。先手は6八の金と6九の飛車が壁になっているのが致命的ですね。
反省
実はこの△6四角型は今回が初めてなんですよね。でもなかなかうまく指せたほうだと思います。
ただ、中盤で銀バサミを狙うも逆に技を掛けられてしまったのはまずかったですね。自分から動くと何かしらのカウンターが付きまとうので、そのカウンターをしっかり見極める読みと知識がまだまだ足りてないようです。
ただ、△6四角型自体はかなり有力だと思うので、後手番角換わりのメイン戦法としてしばらく指してみようと思います。
(棋譜を見やすい将棋盤で表示するために,Fireworks さんが作成されたアニメーション付棋譜再現プレーヤー 「フラ盤」を使用させていただいています.)
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