自戦記第18回。
今回は横歩取りの将棋です。しかもプロ間ではほぼ絶滅危惧種な横歩取り△2三歩型との対決です。
横歩取り△2三歩型は先手良しの結論が出ているのですが、それは定跡を知っていればというのが前提です。知らなければ後手の研究にハマってしまう恐れがあります。
後手の研究が怖ければ横歩を取らずに大人しく飛車を引けば良いと思うのですが、それでも横歩を取りたくなるのが僕の棋風。
そんなんだから序盤で頭抱えるんだろうね(笑)
△2三歩型に意表を突かれる
対局場所は将棋倶楽部24の11級タブ。早指し2です。
初手から▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩で1図。
1図を迎えるまでは「へー、横歩取りになりそうだなー。△4五角戦法かなー」などと思っていたのですが、後手が△2三歩と打った1図で「へ?マジ!?この定跡ほとんど知らないんだけど」って一瞬頭がパニックになりました。
時間の短い将棋はミスしやすくなるので、奇襲戦法やマイナー戦法で相手の意表を突いてミスを誘うのは有力だと思います。
1図以下、▲3四飛△8八角成▲同銀△2五角で2図。
横歩を取らずに飛車を引けば相掛かりになるのですが、そんな気は毛頭ない。男なら堂々と横歩を取りたいところです!
横歩を取った手に対し、角交換からの△2五角が後手の用意した手です。飛車取りと角成りが両方いっぺんに受からないですね。
飛車切るまでしか定跡知らねーぞ!
2図以下、▲3二飛成!△同銀で3図。
△2五角には思い切って▲3二飛成と飛車を切るのが定跡です。この飛車切りで先手良しなのですが、初めて見たときは信じられませんでした。飛車と金の交換で駒損ですからね。
ちなみに▲3二飛成では大人しく▲3六飛と引いて飛車角交換で穏便に済ます手もあります。こちらも定跡では先手良しなので、いきなり飛車を切るのに抵抗がある人はこちらをおすすめします。その後の指し方は知らないけど(苦笑)
はい、思い切り飛車を切ったのはいいですが、僕の横歩取り△2三歩型に対する定跡の知識はこれだけです。
「△2三歩型?はっ!飛車切りで先手良しだからだいじょーぶだってww」
というかなりいい加減な考えでこれまで過ごしてきたので飛車を切りましたが、実際ここから先どのように指せばいいかなんてわかりません。というわけでここから自力で指すことに。
今思えばこんな考えで飛車切りの変化に突っ込むなんて危険ですよね。まぁ、時間の短い将棋でしたし、相手も間違える可能性大と踏んでの決断です。
3図以下、▲3八銀△3三桂▲7七銀で4図。
▲3八銀は角成りと同時に飛車を打ち込まれる手を受けたものです。これに対し△2八飛と打ち込んだら▲2七歩でふたをして飛車を閉じ込める事が出来ます。
あとで調べたところ、△3三桂のところでは▲2二角の筋を消すために△3三銀が定跡です。桂跳ねを見た瞬間3筋の歩を伸ばして攻めるイメージが頭に浮かびました。
あくまで僕の推測ですが相手の方もあまり定跡を把握していなかったのではないかと思います。(あえてこの順を選んだ可能性もありますけど)
一応▲2二角と打って馬を作ることが可能ですが、馬を作るよりも自陣の整備と角は手持ちにした方が良いと思ったのでしばらく玉の整備を優先することに。
4図以下、△4四歩▲6八玉△4二玉▲7九玉△4三角▲8八玉△5一金▲3六歩△4一金▲3七桂で5図。
玉の堅さは先手が上です。後手は玉の位置がまだ不安定ですし、2二の地点に角を打たれる筋が残っています。
以上の理由から戦いを起こすなら今がチャンスです!
馬を作って攻めまくる!
5図以下、△4五桂▲同桂△同歩▲2二角△1二香▲5五角成で6図。
こちらから攻めようと思ったら、なんと後手から桂を跳ねて攻めてきました。
相手は飛車を持っていますが歩切れで攻め手に乏しく、玉はこちらの方が堅いので単純な攻め合いならこちらが有利だと思います。
また、▲5五角成では▲1一角成~▲1二馬で香車を取る手も考えましたが、馬が使いづらくなると思ったのでやめました。馬の利きを最大限に活かし、3~4筋方面を攻めるのを優先した方が良いとの判断です。
6図以下、△3四角▲3五歩△6一角▲3四歩△8四飛で7図。
△3四角は4四の歩を守った手ですが、▲3五歩が角取りになるのが痛い。そのまま3筋の歩を伸ばすことが出来て先手がポイントを稼いだところです。
また、▲3四歩を△同角と取ると▲4四金と打ち、角が逃げたら▲3四歩(参考1図)と垂らす手があります。
△2一桂と受けても▲2二歩で攻めが決まります。
7図以下は▲3三金と露骨に打ち込み、一方的に攻めて先手の勝ち。
横歩取りの将棋で囲いがこうもきれいに残った将棋は多分初めてです。
反省
今回は後手が▲2二角の筋を放置したり、囲いが中途半端なまま攻めてきた所を叩くことでうまく有利な展開に運ぶ事が出来ました。
ただ、飛車切りの定跡を把握していなかったので、もし後手がその定跡をしっかり研究していたら逆にこちらがやられていたと思います。
遭遇する可能性は他の横歩取りの戦法に比べ低いと思いますが、やはり横歩取りは研究が重要視される戦法。次に遭遇したときのためにもしっかりと定跡を学ぶべきだと感じた一局でした。
(棋譜を見やすい将棋盤で表示するために,Fireworks さんが作成されたアニメーション付棋譜再現プレーヤー 「フラ盤」を使用させていただいています.)
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