自戦記第21回。
今回は相居飛車の力戦型です。
一手損角換わり模様から後手が△7二金と見たことない手を指し、そこから定跡を離れ力戦へ。
ただでさえ序盤がボロボロな僕なのに、見たことない指し手に意表を突かれたこともあってか中盤の入り口付近で一方的に馬を作られてしまうことに。
ずっとやりづらさを感じていて負けを覚悟したそのとき、まさかの結末に!
△7二金だと!?
対局場所は将棋倶楽部24の11級タブ。僕が先手で相手の方が後手です。
初手から、▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲7八金△8四歩▲2五歩△7二金で1図。
△7二金では△8八角成からの後手一手損角換わりか、△8五歩として横歩取りを誘うのが後手のよくある指し手なのですが本局は△7二金としてきました。
「は?何これ?」ってなりますよね。
僕はここで飛車先の歩交換を果たす▲2四歩を選択したのですが、▲6八銀として矢倉を見せつつ後手から角交換を誘う手もありますね。
▲6八銀に後手が角交換をせずに▲8五歩としたら▲7七銀として矢倉へ。
通常は矢倉の将棋では後手の右金は5二の地点に配置するのですが、この場合は7二の地点にあるため使いづらいかなーと。
角換わりになったらなったで先手が棒銀で来た時に飛車を4筋に振って対抗する順を消しています。
以上の理由から△7二金には▲6八銀でも良かったともいます。むしろ激しい展開にしたくないなら▲6八銀が良いかも。
1図以下、▲2四歩 △同歩▲同飛 △5二玉で2図。
なるほど、△7二金としたのは次に△5二玉として中住まいが狙いだったんですね。
2図では横歩を取る手も考えたのですが、普段から横歩取り模様になったら避ける僕です。何か後手から返し技があるかもと思い大人しく飛車を引きました。
でも横歩取って先手良かったと思います。(参考2図)
次に▲2二角成△同銀▲3二飛成となれば先手勝ちなので後手は受ける必要がありますが、通常の横歩取りと違って後手は持ち歩が少なく飛車先が切れてないので反撃手段がありません。
参考2図以下、△3三角なら▲3六飛△8五歩▲2六飛△2二銀▲7五歩(参考3図)が予想されますが、後手は自分から動きづらく先手が指しやすい局面だと思います。
普段から横歩を恐れずに取る人はここまでひと目なんでしょうね、きっと。
あ、でも参考3図で△8八角成▲同銀△3五角がある?うーん、なら▲7五歩では先手も▲5八玉で中住まいがいいのか?
って、もうわかりません(笑)
2図以下、▲2八飛△2三歩▲3八銀△8五歩▲2二角成△同銀▲8八銀で3図。
どう指せばいいかわからずとりあえず角を交換しました。ただ、よく考えると手損しますし、次に後手からも飛車先の歩を交換する事ができるので微妙な順だったかと思います。
意表の歩の手筋
3図以下、△8六歩▲同歩△同飛▲8七銀△8四飛▲8六歩△8八歩で4図。
後手も飛車先の歩の交換を果たし、先手が銀冠の外壁を造った瞬間に△8八歩の手裏剣が飛んで来ました。いやー、まったく気付かなかった。
先手は何事もなく8八の地点に入城できれば満足。後手としてはすんなりそれを許したくなかったのでしょう。
4図以下、▲同金△7九角で5図。
桂馬を取られてと金を作られてはマズイので金で歩を取りますが、直後の△7九角が後手の狙い筋。金取りと角成りです。
僕はここで▲7八金と寄り、以下△5七角成と一方的に馬を作られて指しづらくなったのですが、ここは▲6六角(参考4図)で大丈夫でした。飛車取りに当てつつ8八と5七の地点を守る攻防の角です。
参考4図以下、△5四飛なら▲5八金で5七の地点を受け止めて次に▲7八金を狙います。△6四飛なら▲7八金△6六飛▲5八金で飛車か角のどちらかが取れます。
後手陣は隙が無く大駒を打つスペースが無いですが、後手歩切れなので先手有利でしょう。
5図以下、▲7八金△5七角成▲7七桂△5四飛▲6九玉△8八歩で6図。
△5四飛は次に△3九馬を狙っており、仮に▲1六歩とすると△3九馬の王手飛車で負けです。なので▲6九玉としますがまた△8八歩と手裏剣が飛んで来ました。
6図以下、▲同金 △6七馬▲5八歩△3三桂▲7八金△6六馬▲4六歩で7図。
と金を作られてはほぼ勝ち目無いので▲同金。
▲5八歩は何かの時に△4九馬と急襲される筋を嫌って指したものですが、▲5四歩などの反撃を消しているので出来れば指したくありませんでした。
▲4六歩は△4五桂を防ぐと同時に次に▲4七銀として5筋の守りを強化すると共に飛車の横利きを通す手を狙った手です。
7図以下、△5六馬▲6五角△同馬▲同桂△6四歩で8図。
△5六馬で困りました。次に△4六馬と歩を取られてはタダで歩をあげたようなもの。△4五桂とする手もあって更に苦しくなります。
不利なときはどうやっても不利なんですよね。逆転するには相手のミスが必要。というわけで相手のミスを求めて激しくいきます。▲6五角で馬と飛車に両取りがそれ。
角と馬を交換し△6四歩で桂馬が取られてしまいますが、そんなの気にせず無理攻め承知でガンガンいきます。
8図以下、▲3六角で9図。
後手の攻め駒は飛車です。その飛車がいなくなれば自陣への脅威はぐっと減りますし、将来▲3六歩~▲3五歩の桂頭攻めも狙えます。
▲4六角に△4四飛なら▲7二角成△同銀▲5五金△4六飛▲4七歩△6六飛▲6七歩(参考5図)で飛車を捕獲できます。
9図では△5五飛や△5六飛で後手が良いと思うのですが、そうなったらそうなったで考えようと。もうヤケクソです(笑)
9図以下、△6五歩▲5四角△同歩▲4七銀で10図。
なんと後手は飛車取りを放置し桂を取りました。たしかに桂得で後手が駒得ですが、攻めの要となっている飛車と角を交換出来たのでこちらの目的は達成です。
とはいっても先手が不利の状況は変わりません。
10図以下、△6六桂▲3六歩△7八桂成▲同銀△8八角▲6四桂で11図。
色々危ない部分はありますが、何とか王手金取りを掛けたところです。△6六桂の金取りを放置したのはこの両取りを掛けるためでした。
共にトン死!?
11図以下、△6三玉 ▲7二桂成△同銀▲6四歩△7四玉▲8五歩で12図。
先手もだんだん面白くなってきました。▲8五歩は次に▲8四飛の詰めろです。
12図以下、△7九金 ▲5九玉 △6六角成▲6七銀で13図。
実はこれ、△7七角から先手玉が詰みます。△7七角の王手に金か飛車で合い駒するしかないのですが、どれで合い駒しても△6八角成▲同玉△6九金(もしくは飛車)で詰みです。
▲6七銀で馬をどかしてからの▲8四飛を狙ったのですが、指してしばらくして詰みがあるのに気づき負けを覚悟しました。終盤のウッカリってやつですね。いやはや将棋は怖いです。
13図以下、△8六角▲6八金△6七馬▲8四飛で投了図
しかし実戦は後手が▲6八角成を逃したため狙っていた▲8四飛が実現。なんとか勝つ事が出来ました。
あっという間に終わった感じですが勝てて良かったです。
反省
序中盤どれだけ優勢でも本局のようなうっかりな一手でひっくりかえるのは怖いですが、そこが将棋の面白いところでもありますね。それがあるから終盤特有のドキドキ感も味わえますし。
あと、△5七角成を許してしまったのはまずかったですね。△7九角に▲6六角を発見できないところがまだまだ実力不足と言ったところでしょうか。
ここらへんはもっと実戦を積んで鍛えるしかないですね!
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