将棋の数ある戦法の中から代表的な戦法の序盤の定跡と特徴を紹介します。
今回は四間飛車です。あ、角道を閉じるノーマルタイプのやつね。
振り飛車の中でもかなりポピュラーな戦法であり、一番最初に覚えた戦法という人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな四間飛車の序盤と特徴を紹介します。
四間飛車とは
四間飛車とは、序盤に角道を止め、自分から見て左から四番目の筋に飛車を移動させて戦う戦法のことを言います。
序盤の指し方がほかの戦法に比べるとわかりやすく、乱戦になりにくいので安心して駒組みが出来るのが初心者にとって一番嬉しいところです。なので一番最初におすすめする戦法の候補として挙がることがよくあります。
また、角道を閉じない角交換四間飛車と区別するために「ノーマル四間飛車」や「従来の四間飛車」と呼ばれることがありますが、ここでは四間飛車で統一したいと思います。
玉を囲いやすい
四間飛車は居飛車の戦法に比べ玉を囲いやすいというメリットがあります。これは振り飛車全般に共通していることですね。
では、どう囲いやすいのか?実際にその手順を解説します。
初手から、▲7六歩△3四歩▲6六歩で1図。
後手が△3四歩と角道を開けた手に対して▲6六歩と角道を閉じるのが四間飛車への第一歩。角道を閉じることで角交換がなくなり穏やかな序盤になります。角道が開いたままだと角交換が常に生じるのでより神経を使う序盤戦になります。
1図以下、△8四歩▲6八飛で2図。
△8四歩と居飛車を明示した手に早速▲6八飛と四間飛車に構えます。これで飛車の位置はセットOK。ここから玉を囲いにいきます。
2図以下、△5四歩▲4八玉△6二銀▲3八銀△4二玉▲3九玉で3図。
▲3八銀では▲3八玉として穴熊を含みに指す順もありますが、美濃囲いと決めているのであれば▲3八銀~▲3九玉がおすすめです。理由は居飛車の指し方によっては▲3九玉型のまま駒組みを進めたほうが有効な場合があるからです。
あと振り飛車全般に言えることですが、飛車を振ったあとは玉を囲って戦いに備えます。
例外として玉を囲うよりも攻撃陣を優先させる「藤井システム」という対穴熊を意識した四間飛車の戦法がありますが、基本的には先に玉の囲いを優先させるのが振り飛車の序盤の指し方です。
3図以下、△3二玉▲7八銀△5二金右▲5八金左△8五歩▲7七角で4図。
居飛車の△8五歩と飛車先の歩を伸ばした手に▲7七角として歩の交換を防ぐのが振り飛車の大事な手です。この記事で他は忘れてもこれだけは覚えてください!
居飛車に飛車先の歩を交換されてしまうと居飛車の飛車利きが自陣に直通してきます。これにより成りこみを防ぐのがかなり負担になり、しかも持ち駒に歩があるのでその歩を使って攻められてしまう恐れがあります。
単純に飛車先の歩を交換されてしまっては振り飛車の駒組みが難しくなるので、何かしらの条件(こちらの飛車が成りこむなど)が無い限りは▲7七角として交換を避けましょう。
また、居飛車側から端歩を突かれたら受けておくほうが無難です。囲い側の端歩は端攻めされる危険性がありますが、玉の逃げ道を広げるメリットもあるので特に理由がないなら端歩は受けたほうが良いです。
4図は居飛車の分岐点で、△7四歩や△4二銀なら急戦模様、△5三銀なら持久戦模様になります。
四間飛車側の対応としては急戦模様なら▲2八玉とさらに深く玉を囲い、居飛車の攻めにカウンターを狙って陣形を整備していきます。
持久戦模様なら居飛車に淡々と穴熊や左美濃に組まれると不利になりやすいので、△3六歩~△3七桂と右の桂馬の活用をみせて居飛車の駒組みをけん制しつつ十分に組まれないように駒組みしていきます。
と、このようにラクに玉を囲えるのが四間飛車のメリットです。
もちろん例外もあり、居飛車が囲いを無視して速攻で攻めてきたときは囲いが完成する前に戦いが始まる場合がありますが、基本的にそういう攻めは無理攻めがほとんどなので丁寧に対応すれば四間飛車側がよくなります。
囲ってからが難しい
これは僕の個人的な考えなのですが、四間飛車は玉を囲うまでは簡単だけどそこからが難しいです。
四間飛車は自分から攻めるよりも相手が攻めてきたところを叩いて飛車や角を成りこみ、終盤は玉型の差を活かして勝つという戦法なんですよね。
攻めてきたところを叩く、つまりカウンターです。
実は僕、最初に覚えた戦法が四間飛車だったのですが、指し始めたばかりの僕にとってはこのカウンターの感覚がすごく難しいと感じました。
まぁ、今思えば指し始めたばかりの頃なのでどんな戦法を選んでも難しいと感じていたと思うんですけど(笑)
天敵の居飛車穴熊
四間飛車には居飛車穴熊(イビアナ)という最大の天敵がいます。
イビアナが登場する前の居飛車側は舟囲いからの急戦が主流で、それに対して四間飛車は舟囲いよりも堅い美濃囲いの堅さをバックに勝っていたのですが、居飛車側が美濃囲いよりも堅い穴熊に組むようになってからは状況が一変。
今度は居飛車側が穴熊の堅さをバックに勝つパターンが多くなりました。
今では四間飛車側の対策も進んでいるので居飛車側が勝つのも簡単ではないですが、それでもイビアナは四間飛車への有力な対策として君臨しています。
といってもあくまでプロレベルの話なのでアマではあまり難しく考えなくてもいいかも。僕なんか穴熊に組んでも崩されちゃうので(苦笑)
藤井システム
比較的穏やかな四間飛車ですが、居玉のまま攻めまくる「藤井システム」と呼ばれる指し方があります。
藤井猛九段が創案した戦法で、この戦法を原動力に竜王三連覇という偉業も成し遂げてます。
図を見ると四間飛車側が居玉なのわかりますよね。これは玉を囲う手を攻めに使って隙あらば居玉のままガンガン攻めるのを狙ってます。
通常なら美濃囲いの一部である右の銀まで攻めに参加させることもあり、カウンター狙いの四間飛車とはまるで正反対な超攻撃的な戦法です。
まさに、「囲われる前に攻め潰す!」という表現がピッタリです。
また、攻めるときは盤面の右側が戦場になることが多いので、通常通りに囲うと玉が戦場に近くて危険になります。でも居玉なら戦場から遠いのでむしろ安全になり思い切り攻めれるというわけです。
ただし居玉はやっぱり危険。流れ弾を受けやすいので指しこなすのがかなり難しいです。
初心者はいきなり藤井システムから入るのではなく、通常通りに玉を囲う四間飛車を指してから藤井システムに挑戦するのをおすすめします。というか藤井システムは通常の四間飛車で居飛車穴熊に勝ちづらいと思ってからで十分です。
穴熊に組ませて勝てるのであれば居玉で戦う無茶なことは誰もしないはずなので。
まとめ
では最後に四間飛車についてまとめます。
・序盤がわかりやすく玉を囲いやすい
・ただし、囲ってからが難しい(めっちゃ主観)
・居飛車穴熊が最大の天敵
・藤井システムという対イビアナに特化した戦法があるが、居玉なので初心者には不向き
四間飛車はとてもポピュラーな戦法なので定跡の本が他の戦法に比べて充実しています。なので勉強するには困らないですし、先手後手問わず似たように駒組みを進められるので学んだ知識を実戦に活かしやすい戦法です。
ほかの振り飛車を指すにしても四間飛車は振り飛車の基本がギッシリ詰まっているので、覚えた手筋はどの振り飛車を指すにしても必ず役に立つはずです。
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