【超基本!】横歩取りの序盤定跡と特徴

横歩取り

将棋の数ある戦法の中から代表的な戦法の序盤の定跡と特徴を紹介します。

今回は横歩取りです。

将棋の戦法の中でもかなり激しい展開になりやすく、知っていなきゃ指せない変化が満載の戦法です。研究重視のイメージが強い戦法ですが、大駒が乱舞して大技を掛ける瞬間は気持ちいいものです。

今回はそんな横歩取りについて一緒に学んでいきましょう!

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横歩取りとは?

横歩取りとは、お互いに角道を開けたまま飛車先の歩を交換し、先手が▲3四飛として飛車の横にある歩を取るところから始まる戦法のことを言います。

「横にある歩を取る=横歩取り」というわけですね。

先手が横歩を取るかどうかは自由で、横歩取りに自信が無ければ別に無理して取る必要はありません。その場合無難に飛車を引くなり横歩取り模様になったら角交換して無理やり角換わりに持ち込むという展開が考えられます。

横歩取り拒否に関しては先手の横歩取り回避の指し方をまとめてみたを参考にしてみてください。

 

ちなみに横歩取りは後手が誘う戦法なので、後手の立場から見て「横歩取らせ」という言い方をする場合があります。

では早速手順を見ながら解説してきますね。

 

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛で1図。

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この1図で一番多いのは後手も飛車先の歩を交換する△8六歩ですが、横歩取りの変化の一つとして△2三歩(2図)とする△2三歩戦法があります。

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以下、▲3四飛△8八角成▲同銀△2五角で3図。

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飛車取りと角成りを掛けられてしまいましたが、ここで▲3二飛成!と序盤早々飛車をぶった切るのが定跡です。初めて知ったときはビックリしました。

以下色々と変化はあるのですが、△2三歩戦法は先手有利が定説で現在プロ間で登場することはほとんどありません。

また、▲3二飛成ではじっと▲3六飛と引いて飛車角交換に応じる手もあります。こちらも有力です。

 

様々な横歩取りの戦型

先ほどは後手が△2三歩とする変化を紹介しましたが、圧倒的に多いのはこれから紹介する△8六歩です。ではこちらも見ていきましょう。

1図以下、△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛で4図。

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先手が横歩を取った局面です。この局面は横歩取りの基本図とも言っていい局面で、これからの後手の指し方で様々な戦型に変化していきます。

 

ちなみにこの4図は一見するとなんでもないようですが、実は後手がのんびりしていると一気に勝負が決まってしまう変化があります。

例えば4図で△9四歩とすると▲2二角成△同銀▲3二飛成(参考1図)で決まります。

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次に▲4一金までの詰めろと▲2二竜と銀を取る手があって先手必勝です。

▲2二角成に△同銀としましたが△同金でも▲3一飛成があります。また、▲2二角成では▲3二飛成と飛車でいく手もあります。

 

これから紹介するのですが、4図の先手が横歩を取った局面から後手には様々な手段があり、先手はこれら全てに対応できるように準備する必要があります。

また、どの手段もいわゆる「ハメ手」のようなものがあるので知らなきゃ餌食になってしまうことも普通にあります。

横歩を取る際は入念な事前対策を忘れずにお願いします。

ではここからの後手の作戦を簡単にではありますが紹介します。

 

△4五角戦法

4図以下、△8八角成▲同銀△2八歩▲同銀△4五角で5図。

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角交換後に△4五角を打つから「△4五角戦法」わかりやすい名前ですね。

5図で後手は飛車取りを狙っているのですが、真の狙いは飛車が逃げた後の△6七角成!です。以下▲同金△8八飛成で駒損ながら一気の攻めが決まります。

また、△4五角と打つ前に△2八歩▲同銀を入れるのが重要で、これを忘れると▲2四飛△2三歩▲2八飛と先手の飛車が守りに利いてしまい先ほどの強襲が失敗します。

飛車の守りを遮断するための△2八歩というわけですね。

 

この△4五角戦法は先手良しの結論が出ているのでプロ間で登場することは現在ほとんどありません。

しかし実際先手が後手の攻めを受けきるのはかなり大変で、アマチュアでの横歩取りでは頻繁に登場する戦法です。横歩取り対策で真っ先に覚えるべき戦法だと思います。

 

相横歩取り

4図以下、△8八角成▲同銀△7六飛で6図。

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後手も先手と同じように横歩を取るのが相横歩取りと呼ばれる戦法です。

6図で先手の指し手は色々ありますが▲7七銀とするのが定跡で、△7四飛と飛車交換を迫った手に堂々と▲同飛と応じるか穏やかに▲3六飛と引くのがよくある展開です。

飛車交換するとお互い持ち駒に飛車・角・歩3枚と充実してかなり激しい展開になります。穏やかに指したいなら▲3六飛と引くのをおすすめします。

 

ちなみに▲7七銀に△2六飛と飛車成りを狙うのは▲1五角の王手飛車があります。

また、角交換してから△7六飛と横歩を取るのが重要で、角交換せずに横歩を取ると先手の▲2二角成からの強襲をくらってゲームセットです。この筋は先ほども紹介しましたね。

 

△3三桂戦法

4図以下、△3三桂で7図。

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先手の角交換から飛車成りの筋を桂馬で受けるのが△3三桂戦法です。

角道が閉じるので序盤は他の横歩取りの戦法に比べて穏やかな展開になりますが、隙あらば△4五桂と跳ねて角道を通すと同時に5七の地点を狙う切り札があります。

7図以下先手は▲5八玉とし、後手は△6二玉や△1四歩、△4二銀などが一例です。

横歩取りの戦型の中ではマイナーな部類に入るので先手の対策が後回しになりがちな戦型です。しっかり研究しておけば後手番での強力な戦法になるかもしれません。

 

△3三角戦法

4図以下、△3三角で8図。

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先ほどは桂馬でしたが今度は角で先手の角交換から飛車成りの筋を受けます。これが△3三角戦法と呼ばれる戦法で、横歩取りで一番多く指されている手です。プロの横歩取りはほとんどこれです。

角が3三の地点にいるので先手の飛車が2四の地点に移動する事が出来ません。先ほどの△3三桂戦法では▲2四飛とする攻め筋があるのでそれを防ぐ意味があります。

 

8図以下、▲3六飛△2二銀▲8七歩△8四飛(または△8五飛)▲2六飛で9図。

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これが横歩取り△3三角戦法の基本図とも呼べる局面で、ここから駒組みを進めて本格的な戦いへと進んでいきます。

後手の飛車の引き場所や玉の位置によって様々なバリエーションがあり、先手はそれら全てに対応する必要があるので個人的に9図は先手の準備が結構大変という印象があります。

 

ちなみに、8図以下▲3六飛と飛車を引くのが定番ですが、▲5八玉(10図)とする「青野流」と呼ばれる指し方もあります。

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▲5八玉とする理由は▲3六歩と突いたとき、何かのときの王手飛車を先受けするためです。玉を上がらずに▲3六歩とすると△8八角成▲同銀△3三金(参考2図)で飛車がどこへ逃げても王手飛車です。

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▲3六飛とすると後手の様々なバリエーションに対応する必要がありますが、青野流なら先手から先に注文をつける事が出来るので△3三角戦法の対策を一つに絞りたい場合はこちらがおすすめです。

青野流は先手が桂馬を跳ねてガンガン攻める激しい将棋になるのがほとんどです。激しい展開が好みの人にもおすすめです。

 

まとめ

では最後に横歩取りの特長についてまとめます。

 

・飛車の横にある歩を取るから「横歩取り」と言う

・激しい展開になりやすく、いわゆるハメ手もあちこちに存在する

・先手が避けようと思えば避けれるので無理して指す必要はない

・後手から様々な作戦があり、先手はそれら全てに準備する必要がある

・プロ間で流行しているのは△3三角戦法

・△4五角戦法はアマでは頻出なので真っ先に対策した方が無難

・△3三角戦法への対策を一つに絞りたいなら青野流がおすすめ

 

横歩取りは変化を知らなきゃ即負けにつながることもありますが、逆に言うと知ってさえいれば勝てるということです。(もちろん大げさに言ってますけど)

戦法の性質上格上相手に一発入れやすい戦法でもあるので、自分より強い人と指す場合のとっておきとして準備しておくのも面白そうです。

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