石田流三間飛車の対策に頭を悩ませている人は多いのではないでしょうか?
「本当は後手番で振り飛車や横歩取り指したいけど、▲7五歩とされた時点でもうダメ…」
こんな感じになってません?大丈夫ですか?
ちなみに僕は後手番の時は2手目に△8四歩が多いので先手石田流に遭遇する機会はあまり多く無いですが、先手番の時に▲7六歩△3四歩▲2六歩△3五歩とされて後手石田流に出くわすことはよくあります。
後手での石田流はやや無理筋と言われているそうですが、そんなのアマチュアにはあって無いようなもの。
序盤からうまく対応できずにそのまま寄せられるという負けパターンがほとんどでした。
そこで石田流対策について調べたところ、ほとんど知られていないであろう対策を発見したんですね。
それが記事のタイトルにもある「こなたシステム」です。
僕が参考にした記事→石田流三間飛車対策のこなたシステムとは?【石田流はもう怖くない】
はい、恐らくほとんどの人が聞いたことないと思います。
しかしこの戦法侮るなかれ、プロとアマが10秒将棋で指す将棋ウォーズの企画でアマ側がこなたシステムを使ってなんとプロ相手に勝ってます。
なので時間の短いアマチュアの将棋であれば、格上相手に左美濃や棒金にするよりも一発入れる可能性は高いと思います。
一応どんな戦法かざっくりいうと、居飛車と思いきや角交換して互いに打ち合い、その後向かい飛車にして2筋を集中攻撃する戦法です。
って、これだけじゃ全然わかんないですよね(笑)
この戦法面白いなぁーと思って早速実戦で試したらこれがうまいことハマって勝てたので、今回は僕の実戦からこの石田流対策、こなたシステムを紹介します!
これで石田流使いをギャフンと言わせるのだぁぁぁ!
角交換から始まる石田流対策
対局場所は将棋ウォーズ、僕が先手で相手の方が後手です。
普通石田流対策というと先手の石田流に対してですが、今回紹介する将棋は後手石田流に対してです。
では早速実戦を見ていきましょう!
初手から、▲7六歩△3四歩▲2六歩△3五歩で1図。
はい、後手が石田流を宣言したところです。
この手に対して先手が普通に指すなら▲2五歩や▲6八玉なのでしょうが、いかにも相手の研究にハマってしまいそうなので怖いところ。
そもそもそれで勝てるのであれば苦労しないっつーの(苦笑)
というわけで序盤早々動いていきます。
1図以下、▲9六歩△3二飛▲2二角成△同銀▲6五角△3四角▲7八金△7二銀▲4六歩で2図。
▲9六歩は一手パスのような手で、こちらが後手番なら特に必要ありません。後手の△3二飛を待っただけです。
そして後手の△3二飛を待ってから角交換して▲6五角として角成りを狙います。
先手の角成りが受からないようですが、△3四角がこの戦型での返し技。石田流の定跡書でよく紹介される手です。
ここで▲8三角成りは△6七角成りでお互いに馬を作っての乱戦になります。ただ、今回の対策の趣旨と違うので割愛。
って言うかこんな乱戦指す気にならないよね。△6七角成りが桂取りになるのも嫌だし。
▲7八金△7二銀とお互いに角成りを受け、将来△6四歩とされた時の為に▲4六歩として角の引き場所を作ります。
▲7八金のところは銀でも良さそうですが金で受けるのが大事なところ。理由は後ほど紹介します。
はい、2図までに注意して欲しいポイントは以下の4つ。
・△3二飛を見てから角交換
・▲6五角の角成りの筋を見せる
・△3四角には▲7八金
・▲4六歩として角の引き場所を作る
ここまで特に難しいところは無いです。お互いに無難に指していればほとんどの場合2図の局面になるはずです。
いざ発動、向かい飛車!
2図以下、△3三銀▲7七金△6四歩▲4六角△6二玉▲8八飛で3図。
後手の指し手は自然ですね。左銀を前線に繰り出す準備をしつつ、先手の角を追い払い、玉を囲いに行く。
その間に先手は▲7七金~▲8八飛として向かい飛車に構えます。
ここ、7七の駒は金ではなく銀が普通ですが、6七の地点への角成りを受けるために金を移動させます。後手の△3四角に銀ではなく金を上がった理由はこのためです。
先手が▲2六歩としてるので居飛車で来るだろうと後手は予想、いや、決めつけていたと思いますが、その裏を突いて向かい飛車にするのがこなたシステムの狙いです。
陽動相振り飛車とでも言うのでしょうか?初見ならまずびっくりすると思います。
そしてこの戦法のセールスポイントは角の働きの差です。
3図の形勢はもちろん互角ですが、後手の角は現状身動きできないですし、将来先手の持ち駒に金銀が入ったら▲4五銀か▲2五銀で角を捕獲できます。
なので後手は角の引き場所を作るために△4三歩や△2三歩が必要になります。
対して先手の角は後手の急所の8三の地点を睨んでおり、将来▲8三角成から強襲する狙いもあります。
ただ、先手は左の金を攻め駒として使うので守りが薄い、2七の空間が気になる、後手の左銀が前線に出てくると角が取られかねないというデメリットがあります。
持久戦模様になって長引くほどその部分が響いて後手が指しやすくなるので先手の方針は一貫して短期決戦です。
先手はとにかく8筋方面を攻めて左金は出来れば銀と交換。
短期決戦ということもあって玉は囲う暇がない場合がほとんどで居玉で戦うことが多いです。
なので流れ弾に当たりやすく、優勢の局面でも間違えると一発で負けてしまうリスクがあります。
3図以下、△4四歩▲3八金△7一玉▲8六歩△5二角▲8五歩△7四角▲5六歩で4図。
後手が角交換を迫ったのに対し、▲5六歩と交換を拒否した局面です。
交換して▲4三角や▲8四歩とする手もあったと思いますが、どっちが良いかは正直よくわかりません。
4図以下、△3四銀▲7五歩△6三角で5図。
後手も角を好位置に配置させました。しかも銀が出てきたので先手としてはゆっくりしていられないところです。
次に後手から△4五歩と仕掛けられると攻め潰されかねないので、居玉ですがここから動いていきます。
5図以下、▲8四歩△同歩▲同飛△8三歩▲6四飛△4五歩▲同歩△3六歩▲5五歩で6図。
後手の△3六歩を手抜いて▲5五歩と角道を開けました。狙いは▲8三角成△同銀▲6三飛成です。
6図で△3七歩成と取り込まれたら▲同桂を考えていましたが、一回▲3三歩と叩く手もあるか。
ただ、▲3三歩に△同飛なら将来桂馬を跳ねた手が飛車当たりになりますが、△同桂なら次に△4五桂と跳ねる手があって怖いところです。
6図以下、△4五銀▲8三角成△同銀▲6三飛成で7図。
△3七歩成ではなく△4五銀としてきたので、そこで△8三角成を決行!
狙いが実現した7図は先手優勢だと思います。
攻め合い突入
7図以下、△7二銀▲6六龍△3七歩成▲同桂△3六歩▲4五桂△3七歩成▲5三桂不成△3八と▲6一桂成△同銀▲4三角で8図。
お互い我が道を行く攻め合いで先手が詰めろ飛車取りをかけたところ。次に▲6一角成で後手玉は詰みます。
先手は居玉で危ないのは確かですが、逆にそれが後手の攻めからちょっと遠い。おかげで手抜いて攻める事が出来ました。
そしてこの8図で後手が10分切れ負けの将棋で2分という長考。そこで指された手順には驚きました。
8図以下、△6五歩▲同龍△6九金!で9図。
△6九金が全く見えていませんでした。取ると△4七角の王手飛車があってマズイです。
その順になってもまだ難しいのでしょうが、持ち時間が切迫して切れ負けの恐れがあったので金を取ることは出来ませんでした。
それにしてもこのように逆転の望みを掛けて指される手は本当に参考になりますね。
9図以下、▲5八玉△4七角▲同玉△3七飛成▲5六玉△3六龍▲4六歩△4四桂▲6六玉△4六龍▲5七銀で10図。
後手は王手で迫ってきますが持ち駒がないので先手玉は詰みません。後手玉は依然▲6一角成の詰めろです。
10図以下、△5六龍▲同龍△同桂▲6四飛△5二銀▲8三角△8六飛▲同金で後手投了。
後手の王手ラッシュをしっかり受けたところ。飛車を金で取ったところで後手投了となりました。
いかがでしたでしょうか?
今回初めてこなたシステムを用いたのですが、うまくこちらの攻めが決まったと思います。
石田流三間飛車は居飛車党からするとかなり手強い相手です。
普通に左美濃に組んで勝てるのであればいいのですが、それは石田流側も十分に対策していると思うので実戦ではなかなか勝ちづらいと思います。
左美濃に対抗する本も充実してますし、相手もしっかり研究してるはずなので。
しかしこなたシステムならまだまだ対策してない相手がほとんどだと思うので、今回のように時間の短い将棋なら実戦的にかなり勝ちやすいはずです。
もし石田流対策に悩んでいるというのであれば、ぜひ実戦で試してみてくださいね!
ではではーー!
コメント
将棋上達の科学の運営者です。
私の記事を取り上げてくださり、ありがとうございます。
こなたシステム、序盤で作戦勝ちになりやすくていいですよね。
私も、早石田にされたとき、よく指しています(*^^*)
コメントありがとうございます。
玉が薄いのは怖いですが、自分のペースで指せるのは楽しいですよね!