「居飛車党だけど横歩取りは指したくない!」
横歩取りは定跡を知らないと一発でやられちゃいますからね。しっかり研究していれば大丈夫かもしれませんが、その研究が大変なので苦手としている人も多いはず。
そんなあなたには今回紹介する横歩取らず▲5八玉型が救世主になるかもしれません。
電王戦でPonanzaが山崎叡王に指したことで注目を浴びつつありますし、もしかしたらプロ間で流行するかも。
今回はそんな▲5八玉型の序盤の指し方を紹介します!
横歩を取らずに▲5八玉!
お互いに角道開けて飛車先の歩を交換した局面です。ここで先手が▲3四飛とすれば横歩取りになるのですが今回はそんな手は指しません。
そんな手が指せるならそもそも横歩を取らない手など考えません。堂々と▲3四飛とすればいいじゃない!
それが出来ないから悩む。ならここで▲5八玉とするのです!
はい、たったこれだけでOK。玉を上がるだけの簡単なお仕事です。
ちなみに先手が横歩取りを回避する方法は1図で▲2六飛や▲2八飛として相掛かり模様にしたり、1図に至る前に▲6六歩とするウソ矢倉や角交換して無理やり角換わりに持ち込む指し方があります。
これらの指し方は先手が少し損をすると言われていますが、▲5八玉型は僕が調べたところ先手がすぐ悪くなるような変化は見つかりませんでした。むしろ後手が苦労しそうな展開です。
まぁ、将棋の結論はコロコロ変わるのでハッキリしたことはわかりませんし、後手がうまく指せば後手が有利かもしれません。でも横歩を取って後手の研究にハマって負けるくらいなら試してみる価値は十分あると思います。
では2図で後手が△7六飛と横歩を取る場合と△8八角成▲同銀△3三角とした場合の変化を見ていきましょう!
△7六飛
後手が△7六飛と横歩を取った局面です。
先手はすでに▲5八玉と玉を上がっているので、この手を活かして駒組みをしていきたいところです。
3図以下、▲2二角成△同銀▲3四飛△3三銀で4図。
相横歩取りを先手番でやってみました。
ここで通常の相横歩取りなら▲3六飛と引いて飛車交換を迫るのですが、▲5八玉型ならではの手があります。
4図以下、▲8四飛で5図。
通常の相横歩取りならここで▲9五角と打たれて王手飛車取りになるのですが、先に玉が逃げているのでその筋がありません。
以下は△8二歩と飛車成りを受けるくらいですが、▲3八金△2六飛▲2八銀や▲6六角と打って次に▲7七歩からの飛車交換を狙う展開が予想されます。
どれも先手優勢とは言えませんが、後手に△8二歩を打たせたことを考えると十分な展開でしょう。
ちなみに△3三銀では△3三桂とする手も考えられます。
また、3図で先手は相横歩取り以外にも別の横歩取りの戦型に進める手もあります。
玉を先に上がっていることにより、後手番の時には出来なかった指し方が出来る可能性があるからです。相横歩取りの▲8四飛はまさにそうですね。
もしかするとアマチュアで人気の△4五角戦法も可能かもしれません。
△8八角成~△3三角
今度は後手が角交換から△3三角としてきました。(2図で△8八角成▲同銀△3三角)
この手は次に△8八角成~△8八飛成の殺到を狙った手で、先手は▲5八玉と上がっているため最後の飛車成りが王手になります。これを喰らうとマズイです。
先手の玉が上がっていなければ▲2八飛で受かるのですが、玉が上がっているため飛車の横利きが8八の地点まで届きません。
でも大丈夫。ちゃんと返し技があります。
6図以下、▲2一飛成△8八角成▲6八角!で7図。
△8八角成に▲同金だと△同飛成で先手玉が超危険になりますが▲6八角がうまい手です。
7図以下、△8二飛▲8八金△同飛成で8図。
後手は飛車を取られては厳しいので一度飛車を引きますが、そこで▲8八金と馬を取る手が成立します。
もちろん後手は△同飛成として竜を作りますが...
8図以下、▲3一竜△同金▲3三角で9図。
▲3一竜が後手の居玉を突いた手。王手なので取るしかないですが、▲3三角の王手竜取りが決まって気持ち良いですね。
玉を逃げる手(もしくは合い駒)に▲8八角成と竜を取って駒得です。
色々手順の変化はあると思いますが、先手が▲5八玉と上がった2図で後手が横歩を取る△7六飛と角交換から△3三角とする変化は先手が指しやすいと言えると思います。
追記
あとで調べたところ、先手の▲6八角に△2二馬とする変化があります。若干先手が良さそうな気もしますが難解です。
この変化で後手良しの結論が出ると横歩取らず▲5八玉は選べなくなってしまうので、僕個人としては最低でも互角であってほしいですね。
パート2へ続く。
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